会社破産とは
「会社破産」とは、会社が債務(借金・負債)の返済が困難な状態で、これ以上会社の経営を継続することが困難な場合に、「破産法」という法律に基づいて会社を清算する(消滅させる)倒産手続のことをいいます。
以下では、どのような場合に会社破産できるかや、破産手続の具体的な流れ等について説明します。
なお、会社破産以外の倒産手続をお知りになりたい方は「会社破産以外の倒産手続」の各記事をご覧ください。
このページをご覧になっている経営者の方は、会社破産をするべきか否か、今とても深く悩まれているかと思います。弁護士法人焼津リーガルコモンズでは無料法律相談を行っていますので、お一人で悩まずに、まずは弁護士法人焼津リーガルコモンズにご連絡ください。
よくある質問
破産には「自己破産」以外に「準自己破産」があると聞きました。どんな違いがあるのでしょうか?
「自己破産」とは、会社に複数の取締役が存在する場合に、「取締役全員一致の取締役会議事録」や「取締役全員の同意書」を添付して破産申立をする場合をいいます。なお、代表取締役や取締役が1人の場合に、その1人の取締役の意思で破産する場合も、「自己破産」にあたります。
これに対し「準自己破産」とは、会社に複数の取締役が存在するものの全員の同意が得られない場合(例えば、破産に反対する取締役がいる場合、すでに死亡した取締役がいる場合、認知症等により意思が確認できない取締役がいる場合、連絡がとれない行方不明の取締役がいる場合などです。)に、一部の取締役だけで破産申立をする場合をいいます。
「自己破産」と「準自己破産」の違いは上記のとおりですが、実際の破産申立手続にはほとんど違いはありません。
経営者・代表者が急死してしまいました。この場合も会社破産は可能でしょうか?
亡くなった経営者の他に取締役がいる場合は、残った取締役によって破産申立が可能です(準自己破産。準自己破産については上記をご覧ください)。
もし他に取締役がいない場合は、株主総会を開催できる状態であれば、株主総会で新たに代表取締役を選任し、その代表取締役によって破産申立が可能です。
もっとも、経営者が多額の借金を残して急死してしまった場合、ご遺族は相続放棄をなさる場合が多く、その場合は株主総会の開催は困難な状態に陥るため、何とも対応が困難な状態に陥ることもあります。
「債権者破産」について教えてください。
「債権者破産」とは、会社の代表者や取締役の意思で破産申立をするのではなく、その会社の債権者(取引先、金融機関など)から破産を申し立てられる場合です。
例えば、売掛金・貸付金等を支払ってもらえない会社が、「取引先には資産があるのに支払ってもらえない」、「資産隠しをしている恐れがある」ことから「破産管財人にしっかり財産調査をしてもらいたい」といった事情がある場合に申し立てられることがあります。
もっとも、「債権者破産」では申立債権者が裁判所に納める費用が多額であることや、会社の外部の者である債権者が、破産させたい会社が破産の要件である「支払不能」や「債務超過」の状態にあることを疎明しないといけない等ハードルが多いため、現実にはあまり行われません。
会社破産をすると、株主や債権者から代表者や役員等に対し、損害賠償を請求されることはありませんか?
会社法には第423条に「役員等の株式会社に対する損害賠償責任」についての規定が、第429条に「役員等の第三者(債権者など)に対する損害賠償責任」が規定されています。しかし、これらの損害賠償責任はは上場企業などの大企業において問題になることが多く、中小企業が破産するような場合にこれらの責任が追及され損害賠償請求されることは極めて例外的です。実際に弁護士法人焼津リーガルコモンズではこれまで数多くの会社破産を行っていますが、会社代表者や役員の方が株主や債権者から損害賠償請求をされたことはほぼゼロと言っても良い状況です。
参考
第四百二十三条 取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この節において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2 取締役又は執行役が第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定に違反して第三百五十六条第一項第一号の取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。
3 第三百五十六条第一項第二号又は第三号(これらの規定を第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取引によって株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる取締役又は執行役は、その任務を怠ったものと推定する。
一 第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取締役又は執行役
二 株式会社が当該取引をすることを決定した取締役又は執行役
三 当該取引に関する取締役会の承認の決議に賛成した取締役(指名委員会等設置会社においては、当該取引が指名委員会等設置会社と取締役との間の取引又は指名委員会等設置会社と取締役との利益が相反する取引である場合に限る。)
4 前項の規定は、第三百五十六条第一項第二号又は第三号に掲げる場合において、同項の取締役(監査等委員であるものを除く。)が当該取引につき監査等委員会の承認を受けたときは、適用しない。第四百二十九条 役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
会社法
2 次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
一 取締役及び執行役 次に掲げる行為
イ 株式、新株予約権、社債若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該株式会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録
ロ 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに臨時計算書類に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
ハ 虚偽の登記
ニ 虚偽の公告(第四百四十条第三項に規定する措置を含む。)
二 会計参与 計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに会計参与報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
三 監査役、監査等委員及び監査委員 監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
四 会計監査人 会計監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録