飲食店破産が増加中
この数年コロナに振り回され続け、残念ながら飲食店の経営体力は落ち込んでいます。
今この記事を見ていらっしゃる飲食店経営者の方も、「今後の営業をどうしようか…」と悩まれているのではないでしょうか。
本記事では、飲食店が破産をする場合にどのような点がポイントになり、注意をするべきかを解説していきます。
弁護士法人焼津リーガルコモンズでは、経営が厳しく破産を考えている飲食店経営者の方など、会社破産の申立てについて無料で弁護士にオンラインでご相談できます。
お一人で悩まずに、まずはお気軽にご連絡ください。
コロナ禍当初、インバウンド需要の消失や行動制限等の影響から、飲食店の倒産が急増しました。
その後、コロナ禍に伴う資金繰り支援もあり倒産は抑制されましたが、2023年5月にコロナが5類感染症に移行して以降、飲食店への支援は縮小・終了しました。
コロナ禍で猶予されていた借入金等の返済が始まる一方、人手不足や円安による原材料の高騰等も追い打ちとなり、2023年以降、飲食店の破産・廃業が増加傾向にあると報道されています。
飲食店破産の注意点・ポイント
① 閉店(営業停止)のタイミングをいつにする?
飲食店に限らず、あらゆる業種の経営者の方が一番悩まれるのは、「閉店(営業停止)するタイミングをいつにするか」ということです。
正直なところ、会社の置かれている状況によっていつが最適であるかはケースバイケースではあります。
ただ、弁護士が破産という視点で考えると、営業停止をするのに一番最適な時期は、「会社に一番現金が多く残っている時」となります。
なぜなら、破産をするとしても弁護士費用や裁判費用等、最低限の現金が必要となります。現在置かれている厳しい状況の中でも、できるだけ現金を残して営業停止をすれば、弁護士と協力しながらスムーズに破産手続を進めることができるからです。
これを飲食店で見ると、日々の売り上げが現金中心のお店の場合は、買掛金の支払前の、1か月のサイクルの中で一番現金が多い時期に営業停止するのがよいでしょう。
また、クレジットカードやQRコード決済での売上げがあるお店では、売掛金が入金される時期も営業停止の一つの目安となります。
また、飲食店によっては百貨店やショッピングセンターに店舗を出されている場合もあります。この場合は百貨店・ショッピングセンターの運営会社で売上げが全て管理され、賃料を天引きされた売上金が毎月入金されるのが通常です。その場合も売上金が入金される時期が営業停止の目安となります。
このように、飲食店の中でも様々なケースが想定されるため、実際の営業停止日は弁護士と綿密な協議をした上、決定していくことになります。
② 従業員へ説明するタイミングはいつにする?
破産することおよび閉店のタイミングを決断された後、次に経営者の方が悩まれるのは「従業員に説明するタイミングをいつにするか」です。
というのも、閉店前に破産をすることを知る人が多くなればなるほど、外部にその情報が漏れてしまい、取り付け騒ぎになる危険性が高くなります。
飲食店の場合、従業員に安易に閉店することを伝えてしまうと、従業員の家族、仕入先の担当者、常連客などに話が伝わってしまい、それを伝え聞いた債権者が「自分だけには支払ってほしい」と、まだ営業中の店舗等に押し掛けてしまう可能性があります。
そのため、破産をスムーズに進めることを第一に考える弁護士としては、従業員には閉店する当日まで何も話さずに進めるのが原則です。
もっとも、破産を進めるに当たって協力が不可欠な従業員がいる場合、営業中も従業員の協力がないと閉店に向けた準備が進められない場合もありえます。
そのような例外的な場合には、経営者の方が信頼を置いている少数の従業員のみに、事前に説明しておくこともあります。
③ 一部の債権者への支払に注意!
会社破産(個人事業の場合は個人破産)をすれば、事業で負った「債務」の支払を免れることができます。
ただ、破産法では、破産をすると決めて以降は、破産申立前であっても一部の「債務」だけ支払うことができなくなるルール(債権者平等の原則)があります。
そのようなことはしないと思われるかもしれませんが、ここでいう「債務」は、金融機関からの借入金のみではありません。
飲食店を営業されている場合には、食材等の仕入れの買掛金、調理器具や空調設備などのリース代金、店舗の賃料なども「債務」に含まれます。
「仕入れ先だけには迷惑をかけたくないので支払いたい…」と思われる方がほとんどですが、残念ながら支払いはできなくなります。
もし実際に支払ってしまった場合には、破産申立をした後に破産管財人が支払先に返金請求(否認請求)を行う可能性があり、逆に支払先に迷惑をかけてしまいます。
このように、一部の債権者への支払いにはくれぐれも注意してください。
ただ、実際にはいつまで「債務」の支払いをしていいのか、どこに支払ってよくてどこに支払ってはいけないのか等について悩まれるケースがほとんどですので、弁護士による具体的なアドバイスを受けてから対応したほうが良いでしょう。
④ 閉店後の店舗の明渡し・什器備品等の処分について
なんとか閉店までこぎ着けた後も、やらないといけないことはたくさんあります。
まず、賃貸物件の場合には、速やかに店舗の明渡しをする必要があります。
店舗の明渡しのため、店舗に設置された物品の撤去、リース品の返却、所有する什器備品類の処分の作業等を行います。
会社や経営者個人が所有する調理器具、テーブル・食器等の什器備品、食材や酒類も財産になります。現預金や売掛金だけが財産ではありません。
そのため、これらの物品を売却できる場合(資産価値がある場合)には、原則として破産管財人に引き継ぐまで保全する必要があります。
とはいえ、これらの物品を破産申立まで保管しておくことは困難な場合も多いため、破産申立前に「適正な」価格で売却して現金として保管することは可能です。
ここで「適正な」価格と言いましたが、同業者や知り合いに無償で譲渡したり、不当に安い金額で売却することはできません。
一番理想的なのは、複数社から見積もりを取ってより高い金額を提示した業者に売却することです。
他方で、売却できない(資産価値がない)財産については、廃棄費用がかかる場合があります。
廃棄費用もできるだけ安く廃棄処分してくれる業者に依頼する必要があるため、こちらも複数社から見積もりを取って依頼するのが理想的です。
このように、閉店した後の残務処理についても、破産する場合には破産する場合のルールを意識し注意しながら進める必要があります。
飲食店経営者が弁護士に破産を依頼するメリット
以上が、飲食店が破産をする際の注意点・ポイントとなります。
破産をする場合、これまで営業していたお店がなくなってしまうのですから、大なり小なり混乱が発生してしまうことは避けられません。
しかし、閉店を迎えるに当たり、ちゃんと準備を行っておくことで混乱を最小限に抑えることは可能です。
会社・事業主の破産の経験が豊富な弁護士であれば、どのように対処すれば閉店時の混乱を少なくすることができるか、破産や閉店に向けてやっていいこと・やってはいけないことについて、飲食店経営者の方に適切かつ具体的なアドバイスを行います。
この記事を見て、「一般的な注意点・ポイントを理解したが、実際に自分が経営しているお店の場合はどのように対処すればよいのか…」と悩まれた方は、お一人で悩まず、まずはお気軽に弁護士法人焼津リーガルコモンズにご相談ください。
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弁護士法人焼津リーガルコモンズでは会社破産の初回相談は無料です
経営者の方は、会社の経営について周りに相談できる人もおらず、一人で悩まれている方も多くいらっしゃいます。
もし会社破産が少しでも頭によぎられた場合には、できるだけ早い段階で会社破産に精通している弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人焼津リーガルコモンズでは、会社破産の申立てについて法律相談を初回無料で行っています。事務所での相談だけでなく、オンラインでの相談も実施中です。
当事務所には、会社破産に精通した弁護士が在籍しております。経営者の方は、まずは一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
当事務所での無料法律相談の詳細は、「無料オンライン相談 無料法律相談」をご覧ください。
会社破産に必要な費用について
(1)弁護士費用等の目安
会社破産の弁護士費用は、債権者数・負債額に応じて着手金55万円~(税込)です(具体的な金額は、会社の規模等によって異なります)。報酬金はありません。
このほか、裁判所に納める実費(収入印紙、郵券代や破産管財人の報酬等)として、20万円程度かかります(会社の負債状況等で金額が異なります)。
また、会社破産とは別で経営者等が個人破産をする場合の弁護士費用は、1人33万円(税込)です。
これらの費用は、会社に残された資産(預金・売掛金等)や今後入金される予定の売掛金等から捻出することが可能です。
税務署等に売掛金を差し押さえられてしまうと、弁護士費用に利用することができなくなってしまうため、そうなる前にご相談ください。
費用についての詳細は「安心の弁護士費用」をご覧ください。
(2)分割払いもご相談可能です
弁護士費用は、ご相談者様の経済的状況に応じて分割払いも可能です。ただし、実際に裁判所に対し破産申立を行うのは、弁護士費用の積立が完了した後になります。その場合でも、受任通知は委任契約後速やかに債権者に送付いたします。債権者からの支払督促は止まりますので、ご安心ください。
会社破産の手続の流れについて
弁護士(当事務所)に依頼する場合の会社破産の手続の流れは以下の通りです。
より詳しくお知りになりたい方は「会社破産の手続・スケジュール①・②・③」をご覧ください。
1. 法律相談から委任契約まで
① 法律相談の予約・相談日の調整
まずはお電話又は問い合わせフォームから法律相談の予約をしてください。
お電話又はメールで法律相談の日時を調整し確定いたします。
当事務所の初回相談は無料です。オンライン相談も実施しています。
詳細は「無料オンライン相談 無料法律相談」をご覧ください。
② 法律相談
ご調整した日時に、法律相談を行います。法律相談は、必ず当事務所所属の弁護士が対応します。
法律相談では
- 今後の見通し
- ご相談者がとるべき対応
- 弁護士費用
などについてご説明します。
ご相談の際には、債権者一覧表や会社の概要をまとめたメモ等をご用意頂けると、弁護士がスムーズに事案を把握し適切なアドバイスが可能ですので、できるかぎりご用意ください。
法律相談のみで解決した場合はこれで終了となります。
③ 委任契約の締結
弁護士が説明した解決策や弁護士費用についてお客様がご納得され、当事務所に依頼を希望される場合、後日、当事務所との間で委任契約を締結します。
一度相談したら依頼しなければいけないということはありません。相談終了後、ゆっくり検討して頂くことも可能です。
2. 委任契約から破産申立まで
① 受任通知の発送
委任契約後、お客様と協議し、当事務所から債権者(金融機関や取引先など)に受任通知を発送いたします。
受任通知が債権者に届いた時点で、債権者からの取立行為は止まり、債権者からの連絡は当事務所所属の弁護士が対応します。
② 弁護士費用等の準備
債権者からの取立が止まっている間に、弁護士費用・裁判所費用の準備をして頂きます。裁判所への破産申立ては、費用の準備が完了してからになります。
会社に残存している資産(預貯金・今後入金予定の売掛金など)から費用を準備して頂くことが可能です。
会社に資産が一切残っておらず、分割を希望される方は、数か月かかる場合があります。
③ 必要書類の準備
弁護士費用の準備ができましたら、破産申立に必要な書類の準備に入ります。
申立書式をお渡ししますので、まずはそれにお客様の方で記入して頂き、弁護士と協力して準備することになります。
また、必要資料として
- 会社の登記簿謄本
- 決算報告書
- 預金通帳のコピー
なども必要となります。
これらの必要資料は、会社によって異なりますので、弁護士から丁寧にご説明いたします。
3. 破産申立から終了まで
① 破産申立・破産手続開始決定
申立書類・必要資料の準備が整いましたら、当事務所で裁判所に破産申立てを行います。
破産申立てから数日後、裁判所が破産手続開始決定を行い、破産管財人が選任されます(会社破産の場合には必ず選任されます)。
破産管財人は、
- 破産会社の財産管理
- 財産調査
- 換価処分
- 債権者への配当
② 管財人面接
破産申立から1~2週間後、お客様と破産管財人との間で打合せを行います(管財人面接)。
管財人面接には、破産管財人の意向によってお客様と1人で行う場合もあれば、当事務所の弁護士が同席することもあります。
管財人面接では、申立書の内容確認や、追加資料の提出を求められることがあります。
会社の代表者には破産管財人に対する説明義務があるので(破産法第40条)、虚偽の説明などをしてはいけません。
③ 債権者集会
管財人面接から約2~3か月後に、裁判所で債権者集会が行われます。
債権者集会は、破産管財人が行った業務内容について、裁判所と債権者に報告を行う集会のことをいいます。
債権者集会には、当事務所の弁護士がお客様と一緒に出頭します。
債権者集会までに管財人の業務が終了していれば、破産事件は終了します。
終了していなければ、約3か月の間隔でその都度債権者集会が行われます。
1回で終了することもあれば、不動産の売却や売掛金の回収などの業務がある場合には複数回かかる場合があります。
④ 配当手続
会社に一定の財産が残った場合、債権者への配当手続が行われます。
破産管財人が全て対応し、お客様がなにか対応することはありません。
会社に配当できる財産がない場合には、配当手続は行われずに破産手続は終了します(破産手続廃止決定)。
⑤ 破産手続終結決定
配当手続が完了すると破産管財人が行う業務はすべて終了となり、破産手続は終了します(破産手続終結決定)。
なお、個人破産と異なり、会社破産の場合には免責手続はありません。なぜなら、会社は破産手続の終了によって法人格が消滅するので、免責手続がそもそも必要ではないからです。免責手続がなくても、会社の負債は全て支払わなくてよいことになりますので、ご安心ください。