建設業の破産が増加中
この数年コロナに振り回され続け、残念ながら建設業を営む中小企業の経営体力は落ち込んでいます。
今この記事を見ていらっしゃる建設業経営者の方も、「いつまで事業を続けるべきか…」と悩まれているのではないでしょうか。
本記事では、建設業が破産をする場合にどのような点がポイントになり、注意をするべきかを解説していきます。
弁護士法人焼津リーガルコモンズでは、経営が厳しく破産を考えている建設業経営者の方など、会社破産の申立てについて無料で弁護士にオンラインでご相談できます。
お一人で悩まずに、まずはお気軽にご連絡ください。
コロナ禍以前の建設業界は、東日本大震災からの復興、東京オリンピック、リニア建設等をはじめとする工事需要などがあり、景気は好調な状況でした。
しかしながら、コロナ禍によって売上げが低迷した企業も多く、新規の工事発注は減少し、売上げは減少しました。また、工事を受注できたとしても、企業の資産状況の悪化や先行きの不透明さにより、工事予算の削減も行われるようになりました。
他方で輸入に頼る建設資材は高騰し、納期は遅れるほか、もともと問題となっていた人材不足についても、コロナ禍による雇止め等によって、より深刻な状況に陥りました。
コロナ禍に伴う資金繰り支援によってなんとかしのいでいた会社もたくさんありますが、2023年5月にコロナが5類感染症に移行して以降、これらの支援は縮小・終了しました。
工事需要は回復傾向にあるものの、コロナ禍で猶予されていた借入金等の返済が始まる一方、人手不足や円安による原材料の高騰は相変わらずで、2023年の建設業の倒産件数は急増したと報道されています。
建設業破産の注意点・ポイント
① 仕掛中の工事への対応が大事!
建設業破産の特有の問題として特に注意しなければならないのは、仕掛中の工事への対応です。
言うまでもありませんが、建設業者は注文者から建設工事を業務として請け負い、工事を完成させる法的義務を負っています。未完成のまま工事を放置する事態となってしまうと、注文者に大きな不利益を与えてしまうことはもちろん、下請業者にも悪影響が及びます。そのため、仕掛中の工事は、可能であれば破産申立て前に全て完成させてしまうことが望ましいです。
もっとも、破産を検討しているような状況の会社であれば、そもそもその時点で工事を完成させる経営体力がないことがほとんどです。やむを得ず仕掛中の工事がある状況で破産をするのであれば、現場や関係者の混乱を最小限に抑えるため、できるだけ速やかに破産申立てを行い、破産管財人に引き継ぐ必要があります。
破産管財人は、破産者から引き継いだ情報をもとに、仕掛中の工事を続行するのか、それとも中止するのか等について速やかに方針を決定し、対応しなければなりません(なお、これまで当事務所で破産申立てをしたケースを見ると、下請業者と注文者との間を取り次いで直接請負契約をしてもらい、工事を続行してもらうといった調整をすることが多い印象です)。
ただ、破産管財人には弁護士が選任されるため、建設業には当然精通していません。そのため、破産者も破産後に全く対応しなくてよくなるわけではなく、破産管財人の指示に従い、協力しなければなりません。
破産管財人は初動段階で、仕掛中の工事がどのような状況で止まってしまっているのか、正確に状況を把握することをなにより望んでいます。そのため、破産者としては、上で述べた協力義務の一環として、仕掛中の工事の内容、規模、完成の程度などを確認できる資料等を準備する必要があります。具体的には、以下のような資料(情報)は正確に引き継ぐ必要があることを頭に入れておくとよいでしょう。
- 契約書(注文者・下請業者など)
- 見積書
- 工程表・施工図等
- 現場写真
- 仕掛工事一覧表(仕掛中の工事の件数、進捗状況、代金の受取状況、関係者の連絡先等を記載した資料)
弁護士法人焼津リーガルコモンズでは、多くの建設業経営者の方からのご相談、破産手続のご依頼を受けた経験がありますので、ご相談者様が現在置かれている状況を踏まえて適切なアドバイス、手厚いサポートをさせて頂きます。無料オンライン相談も実施しておりますので、まずはお一人で悩まずに、ぜひ当事務所にお問い合わせください。
② 営業停止のタイミングをいつにする?
建設業に限らず、あらゆる業種の経営者の方が一番悩まれるのは、「閉店(営業停止)するタイミングをいつにするか」ということです。
正直なところ、会社の置かれている状況によっていつが最適であるかはケースバイケースではあります。
ただ、弁護士が破産という視点で考えると、営業停止をするのに一番最適な時期は、「会社に一番現金が多く残っている時」となります。
なぜなら、破産をするとしても弁護士費用や裁判費用等、最低限の現金が必要となります。現在置かれている厳しい状況の中でも、できるだけ現金を残して営業停止をすれば、弁護士と協力しながらスムーズに破産手続を進めることができるからです。
これを建設業で見ると、1か月のサイクルの中で一番現金が多い時期である、売掛金が入金された直後に営業停止するのがよいでしょう。
もっとも、会社によっては売掛金の入金時期が1つの時期に定まっていない場合(例えば毎月15日払いと月末払いの2パターンある等)や、後述する仕掛工事が残っているような場合もあります。そのような場合には、実際の営業停止日を一概に決めることはできないことから、弁護士と綿密な協議をした上、決定していくことになります。
③ 従業員へ説明するタイミングはいつにする?
破産することおよび営業停止のタイミングを決断された後、次に経営者の方が悩まれるのは「従業員に説明するタイミングをいつにするか」です。
というのも、営業停止前に破産することを知る人が多くなればなるほど、外部にその情報が漏れてしまい、取り付け騒ぎになる危険性が高くなります。
建設業の場合、従業員に安易に営業停止することを伝えてしまうと、従業員と関係のある取引先(元請先)や建設資材等の仕入先、下請先などに話が伝わってしまい、債権者から「お願いだから自分のところだけには支払ってほしい。」と、まだ営業中の事務所や経営者の自宅等に押し掛けてくる可能性があります。
特に建設業の場合、日々の工事等で密接な関係性を築いており、買掛金の支払いを待ってくれている債権者も多く、債権額が大きくなる傾向にあります。このような債権者は、債権回収ができなくなる事態に陥ると、裏切られたと思う気持ちが強くなり、感情的な行動をとることがしばしばあるので、注意が必要です。
そのため、破産をスムーズに進めることを第一に考える弁護士としては、従業員には営業停止する当日まで何も話をせずに進めるのが原則です。
もっとも、破産を進めるに当たり、協力が不可欠な従業員がいる場合(例えば、経理業務に専従している従業員など)、事業継続中も従業員の協力がなければ破産に向けた準備が進められない場合もありえます。
そのような例外的な場合には、経営者の方が信頼を置いているごく少数の従業員のみに、事前に説明しておくこともあります。
④ 一部の債権者への支払に注意!
会社破産(個人事業の場合は個人破産)をすれば、事業で負った「債務」の支払を免れることができます。
ただ、破産法では、破産をすると決めて以降は、破産申立前であっても一部の「債務」だけ支払うことができなくなるルール(債権者平等の原則)があります。
そのようなことはしないと思われるかもしれませんが、ここでいう「債務」は、金融機関からの借入金のみではありません。
建設業を経営されている場合には、
- 建設資材の仕入れや下請会社・一人親方の買掛金
- 業務で使用するトラックや建設機械等のリース代金
- 事務所の賃料
なども「債務」に含まれます。
上で述べた通り、建設業の場合には債権者と密接な関係性を築いている場合が多いため、「得意先の材料屋・下請けだけには、迷惑をかけたくないので支払いたい…」と思われる経営者の方がほとんどですが、残念ながら支払いは一切できなくなります。
債権者の中には感情的・乱暴な取り立てをしてくる場合もあり、根負けしてその場しのぎで支払ってしまいたくなりますが、もしも実際に支払ってしまった場合には、破産申立後に破産管財人が支払先に返金請求(否認請求)を行う可能性があり、結局支払先に迷惑をかけてしまうことになります。
このように、一部の債権者への支払いにはくれぐれも注意してください。
ただ、実際にはいつまで債権者への支払いをしていいのか、どこに支払ってよくてどこに支払ってはいけないのか等について悩まれるケースがほとんどですので、弁護士による具体的なアドバイスを聞いてから対応したほうが良いでしょう。
建設業経営者が弁護士に破産を依頼するメリット
以上が、建設業が破産をする際の注意点・ポイントとなります。
破産をする場合、これまで営業していた会社がなくなってしまうのですから、大なり小なり混乱が発生してしまうことは避けられません。
しかし、営業停止を迎えるに当たり、ちゃんと準備を行っておくことで混乱を最小限に抑えることは可能です。
会社・事業主の破産の経験が豊富な弁護士であれば、
- どのように対処すれば営業停止時の混乱を少なくすることができるか
- 破産や営業停止に向けてやっていいこと・やってはいけないこと
について、建設業経営者の方に適切かつ具体的なアドバイスを行います。
この記事を見て、「自分が経営している会社の場合にはどのように対処すればよいのか…」と悩まれた方は、お一人で悩まず、まずはお気軽に弁護士法人焼津リーガルコモンズにご相談ください。
弁護士法人焼津リーガルコモンズでは、経営が厳しく破産を考えている建設業経営者の方など、会社破産の申立てについて無料で弁護士にオンラインでご相談できます。お一人で悩まずに、まずはお気軽にご連絡ください。
弁護士法人焼津リーガルコモンズでは会社破産の初回相談は無料です
経営者の方は、会社の経営について周りに相談できる人もおらず、一人で悩まれている方も多くいらっしゃいます。
もし会社破産が少しでも頭によぎられた場合には、できるだけ早い段階で会社破産に精通している弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人焼津リーガルコモンズでは、会社破産の申立てについて法律相談を初回無料で行っています。事務所での相談だけでなく、オンラインでの相談も実施中です。
当事務所には、会社破産に精通した弁護士が在籍しております。経営者の方は、まずは一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
当事務所での無料法律相談の詳細は、「無料オンライン相談 無料法律相談」をご覧ください。
会社破産に必要な費用について
(1)弁護士費用等の目安
会社破産の弁護士費用は、債権者数・負債額に応じて着手金55万円~(税込)です(具体的な金額は、会社の規模等によって異なります)。報酬金はありません。
このほか、裁判所に納める実費(収入印紙、郵券代や破産管財人の報酬等)として、20万円程度かかります(会社の負債状況等で金額が異なります)。
また、会社破産とは別で経営者等が個人破産をする場合の弁護士費用は、1人33万円(税込)です。
これらの費用は、会社に残された資産(預金・売掛金等)や今後入金される予定の売掛金等から捻出することが可能です。
税務署等に売掛金を差し押さえられてしまうと、弁護士費用に利用することができなくなってしまうため、そうなる前にご相談ください。
費用についての詳細は「安心の弁護士費用」をご覧ください。
(2)分割払いもご相談可能です
弁護士費用は、ご相談者様の経済的状況に応じて分割払いも可能です。ただし、実際に裁判所に対し破産申立を行うのは、弁護士費用の積立が完了した後になります。その場合でも、受任通知は委任契約後速やかに債権者に送付いたします。債権者からの支払督促は止まりますので、ご安心ください。
会社破産の手続の流れについて
弁護士(当事務所)に依頼する場合の会社破産の手続の流れは以下の通りです。
より詳しくお知りになりたい方は「会社破産の手続・スケジュール①・②・③」をご覧ください。
1. 法律相談から委任契約まで
① 法律相談の予約・相談日の調整
まずはお電話又は問い合わせフォームから法律相談の予約をしてください。
お電話又はメールで法律相談の日時を調整し確定いたします。
当事務所の初回相談は無料です。オンライン相談も実施しています。
詳細は「無料オンライン相談 無料法律相談」をご覧ください。
② 法律相談
ご調整した日時に、法律相談を行います。法律相談は、必ず当事務所所属の弁護士が対応します。
法律相談では
- 今後の見通し
- ご相談者がとるべき対応
- 弁護士費用
などについてご説明します。
ご相談の際には、債権者一覧表や会社の概要をまとめたメモ等をご用意頂けると、弁護士がスムーズに事案を把握し適切なアドバイスが可能ですので、できるかぎりご用意ください。
法律相談のみで解決した場合はこれで終了となります。
③ 委任契約の締結
弁護士が説明した解決策や弁護士費用についてお客様がご納得され、当事務所に依頼を希望される場合、後日、当事務所との間で委任契約を締結します。
一度相談したら依頼しなければいけないということはありません。相談終了後、ゆっくり検討して頂くことも可能です。
2. 委任契約から破産申立まで
① 受任通知の発送
委任契約後、お客様と協議し、当事務所から債権者(金融機関や取引先など)に受任通知を発送いたします。
受任通知が債権者に届いた時点で、債権者からの取立行為は止まり、債権者からの連絡は当事務所所属の弁護士が対応します。
② 弁護士費用等の準備
債権者からの取立が止まっている間に、弁護士費用・裁判所費用の準備をして頂きます。裁判所への破産申立ては、費用の準備が完了してからになります。
会社に残存している資産(預貯金・今後入金予定の売掛金など)から費用を準備して頂くことが可能です。
会社に資産が一切残っておらず、分割を希望される方は、数か月かかる場合があります。
③ 必要書類の準備
弁護士費用の準備ができましたら、破産申立に必要な書類の準備に入ります。
申立書式をお渡ししますので、まずはそれにお客様の方で記入して頂き、弁護士と協力して準備することになります。
また、必要資料として
- 会社の登記簿謄本
- 決算報告書
- 預金通帳のコピー
なども必要となります。
これらの必要資料は、会社によって異なりますので、弁護士から丁寧にご説明いたします。
3. 破産申立から終了まで
① 破産申立・破産手続開始決定
申立書類・必要資料の準備が整いましたら、当事務所で裁判所に破産申立てを行います。
破産申立てから数日後、裁判所が破産手続開始決定を行い、破産管財人が選任されます(会社破産の場合には必ず選任されます)。
破産管財人は、
- 破産会社の財産管理
- 財産調査
- 換価処分
- 債権者への配当
② 管財人面接
破産申立から1~2週間後、お客様と破産管財人との間で打合せを行います(管財人面接)。
管財人面接には、破産管財人の意向によってお客様と1人で行う場合もあれば、当事務所の弁護士が同席することもあります。
管財人面接では、申立書の内容確認や、追加資料の提出を求められることがあります。
会社の代表者には破産管財人に対する説明義務があるので(破産法第40条)、虚偽の説明などをしてはいけません。
③ 債権者集会
管財人面接から約2~3か月後に、裁判所で債権者集会が行われます。
債権者集会は、破産管財人が行った業務内容について、裁判所と債権者に報告を行う集会のことをいいます。
債権者集会には、当事務所の弁護士がお客様と一緒に出頭します。
債権者集会までに管財人の業務が終了していれば、破産事件は終了します。
終了していなければ、約3か月の間隔でその都度債権者集会が行われます。
1回で終了することもあれば、不動産の売却や売掛金の回収などの業務がある場合には複数回かかる場合があります。
④ 配当手続
会社に一定の財産が残った場合、債権者への配当手続が行われます。
破産管財人が全て対応し、お客様がなにか対応することはありません。
会社に配当できる財産がない場合には、配当手続は行われずに破産手続は終了します(破産手続廃止決定)。
⑤ 破産手続終結決定
配当手続が完了すると破産管財人が行う業務はすべて終了となり、破産手続は終了します(破産手続終結決定)。
なお、個人破産と異なり、会社破産の場合には免責手続はありません。なぜなら、会社は破産手続の終了によって法人格が消滅するので、免責手続がそもそも必要ではないからです。免責手続がなくても、会社の負債は全て支払わなくてよいことになりますので、ご安心ください。