通販・ネット販売業の破産が増加中
コロナ禍が終息し経済活動がコロナ禍以前に戻りつつある昨今ですが、残念ながら通信販売・ネット販売業を営む中小企業の経営体力は落ち込んでいます。
今この記事を見ていらっしゃる通販・ネット販売業経営者の方も、「いつまで事業を続けるべきか…」と悩まれているのではないでしょうか。
本記事では、通販・ネット販売業が破産をする場合にどのような点がポイントになり、注意をするべきかを解説していきます。
弁護士法人焼津リーガルコモンズでは、経営が厳しく破産を考えている通販・ネット販売経営者の方など、会社破産について無料で弁護士にオンラインでご相談できます。
お一人で悩まずに、まずはお気軽にご連絡ください。
通販・ネット販売業は、コロナ禍に伴う巣ごもり需要の増加や、実店舗の運営に比べて家賃や改装費などの初期投資や人件費等を抑えられること等を追い風に、コロナ禍以降大幅に売り上げを伸ばしてきました。
しかしながら、最近では事業者数の増加に伴い、同業者との競争激化などの影響を受け、2022年から「通信販売・訪問販売小売業」の倒産件数は、増加の一途を辿っているとの報道が出ています。
通販・ネット販売業は、少ない資本での参入が容易である一方で、消費者の消費傾向の変化やブームの沈静化などによって売上げを大きく下げる傾向にあること等から、今後もコロナ禍で参入した事業者を中心に通販・ネット販売業の倒産は増加を辿るものとみられています。
通販・ネット販売業 会社破産の注意点・ポイント
① 在庫商品の「適正な」処分が大事!
通信販売・ネット販売業の破産の特有の問題として特に注意しなければならないのは、在庫商品の処分についてです。
というのも、会社の営業を停止する際、大なり小なり販売していた在庫商品が残ります。この在庫商品は、破産する会社にとっては大切な「資産」ですので、売却できる場合(資産価値がある場合)には、原則として破産管財人に引き継ぐまで保全する必要があります。
とはいえ、これらの物品を破産申立てまで保管しておくには、在庫商品の量によっては保管していた倉庫等を引き続き賃借し続けなければいけない場合があります。その場合、倉庫の賃料を支払い続けないといけないことになり、会社の資産(現金)が流出し続けることになります。
また、破産を決断しなければいけない状況ですから、通常は会社には現預金が残っていないことがほとんどです。会社破産を進めるに当たって、弁護士費用や裁判所に納める費用など、一定の現金が必要になります。
このように、会社の置かれている状況(会社の資産流出を防ぐ又は破産費用を捻出する必要がある場合)によっては、破産申立前に「適正な」価格で在庫商品を売却して現金化すること、その現金を破産費用に利用することは可能です。
ここで「適正な」価格と言いましたが、同業者や知り合いに無償で譲渡したり、不当に安い金額(廉価売却)で売却することはできません。このようなことをしてしまうと、本来在庫商品が有する客観的な価値よりも不当に低い価値で財産を流出させてしまったということで、破産申立後に破産管財人から「不当な財産処分、財産隠匿行為」であると指摘される可能性があります。
このように、破産管財人から後に問題視されないように、弁護士に相談、協議の上で慎重に在庫商品の処分を進める必要があります。
弁護士法人焼津リーガルコモンズでは、多くの通販・ネット販売経営者の方からのご相談、破産手続のご依頼を受けた経験がありますので、ご相談者様が現在置かれている状況を踏まえて適切なアドバイス、手厚いサポートをさせて頂きます。無料オンライン相談も実施しております。まずはお一人で悩まずに、ぜひ当事務所にお問い合わせください。
② 営業停止のタイミングをいつにする?
通販・ネット販売業に限らず、あらゆる業種の経営者の方が一番悩まれるのは、「閉店(営業停止)するタイミングをいつにするか」ということです。
正直なところ、会社の置かれている状況によっていつが最適であるかはケースバイケースです。
ただ、弁護士が破産という視点で考えると、営業停止をするのに一番最適な時期は、「会社に一番現金が多く残っている時」となります。
なぜなら、破産をするとしても弁護士費用や裁判費用等、最低限の現金が必要となります。現在置かれている厳しい状況の中でも、できるだけ現金を残して営業停止をすれば、弁護士と協力しながらスムーズに破産手続を進めることができるからです。
これを通販・ネット販売業で見ると、1か月のサイクルの中で一番現金が多い時期である、売掛金(クレジットカード会社、ペイペイ等の決済会社からの売上)が入金された直後に営業停止するのがよいでしょう。
ただ、会社によっては売掛金の入金時期が定まっていない場合(例えば毎月10日払いと月末払いの2パターンある等)もあります。そのような場合には、実際の営業停止日を一概に決めることはできませんので、弁護士と綿密な協議をした上、決定していくことになります。
③ 従業員へ説明するタイミングはいつにする?
通販・ネット販売をされている会社は、前述のように少ない資本で事業に参入することが可能であることから、一人会社のような小規模で経営されていることも多いですが、事業を拡大し、従業員を数名抱えながら経営されている会社も多く存在します。
従業員を抱えられている経営者の方が次に悩まれるのは、「従業員に破産を説明するタイミングをいつにするか」です。
というのも、営業停止前に破産することを知る人が多くなればなるほど、外部(取引先・仕入先など)にその情報が漏れてしまい、取り付け騒ぎになる危険性が高くなります。
そのため、破産をスムーズに進めることを第一に考える弁護士としては、従業員には営業停止する当日まで何も話をせずに進めるのが原則です。
もっとも、破産を進めるに当たり、協力が不可欠な従業員がいる場合(例えば、経理業務や在庫管理を一任している従業員など)、事業継続中も従業員の協力がなければ破産に向けた準備が進められない場合もありえます。
そのような例外的な場合には、経営者の方が信頼を置いているごく少数の従業員のみに、事前に説明しておくこともあります。
従業員へ事前に説明するタイミング、どのように説明するか等は大変神経を使うところですので、その方法などについては弁護士と協議の上進めていくことになります。
④ 一部の債権者への支払に注意!
会社破産(個人事業の場合は個人破産)をすれば、事業で負った「債務」の支払を免れることができます。
ただ、破産法では、破産をすると決断した後は、破産申立前であっても一部の「債務」だけ支払うことができなくなるルール(債権者平等の原則)があります。
「そのようなことをするわけがない」と思われるかもしれませんが、ここでいう「債務」には、金融機関からの借り入れや商品の仕入先の買掛金だけでなく、親族や友人などの事業者ではない一般個人の方からの借金も含まれます。個人の方からの借金は、「今後の人間関係もあるし、迷惑をかけたくないので支払いたい…」と思われる経営者の方がほとんどですが、残念ながら支払いは一切できなくなります。
債権者の中には感情的・乱暴な取り立てをしてくる場合もあり、根負けしてその場しのぎで支払ってしまいたくなります。しかしながら、もし実際に支払ってしまった場合には、破産申立後に破産管財人が支払先に返金請求(否認請求)を行う可能性があり、結局支払先に迷惑をかけてしまうことになります。ですので、一部の債権者への支払いにはくれぐれもご注意ください。
一般論は以上の通りですが、実際にはいつまで債権者への支払いを続けてよいのか、どこに支払ってよくて、どこに支払ってはいけないのか等について悩まれるケースがほとんどです。弁護士による具体的なアドバイスを聞いてから対応したほうが良いでしょう。
通販・ネット販売業の経営者が弁護士に破産を依頼するメリット
以上が、インターネット販売業が破産をする際の注意点・ポイントとなります。
破産をする場合、これまで営業していた会社がなくなってしまうのですから、大なり小なり混乱が発生してしまうことは避けられません。
しかし、営業停止を迎えるに当たり、ちゃんと準備を行っておくことで混乱を最小限に抑えることは可能です。
会社・事業主の破産の経験が豊富な弁護士であれば、
- どのように対処すれば営業停止時の混乱を少なくすることができるか
- 破産や営業停止に向けてやっていいこと・やってはいけないこと
について、通販・ネット販売経営者の方に適切かつ具体的なアドバイスを行います。
この記事を見て、「自分が経営している会社の場合にはどのように対処すればよいのか…」と悩まれた方は、お一人で悩まず、まずはお気軽に弁護士法人焼津リーガルコモンズにご相談ください。
弁護士法人焼津リーガルコモンズでは、経営が厳しく破産を考えている通販・ネット販売経営者の方など、会社破産について無料で弁護士にオンラインでご相談できます。お一人で悩まずに、まずはお気軽にご連絡ください。
弁護士法人焼津リーガルコモンズでは会社破産の初回相談は無料です
経営者の方は、会社の経営について周りに相談できる人もおらず、一人で悩まれている方も多くいらっしゃいます。
もし会社破産が少しでも頭によぎられた場合には、できるだけ早い段階で会社破産に精通している弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人焼津リーガルコモンズでは、会社破産の法律相談を初回無料で行っています。事務所での相談だけでなく、オンラインでの相談も実施中です。
当事務所には、会社破産に精通した弁護士が在籍しております。経営者の方は、まずは一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
当事務所での無料法律相談の詳細は、「無料オンライン相談 無料法律相談」をご覧ください。
会社破産に必要な費用について
(1)弁護士費用等の目安
会社破産の弁護士費用は、債権者数・負債額に応じて着手金55万円~(税込)です(具体的な金額は、会社の規模等によって異なります)。報酬金はありません。
このほか、裁判所に納める実費(収入印紙、郵券代や破産管財人の報酬等)として、20万円程度かかります(会社の負債状況等で金額が異なります)。
また、会社破産とは別で経営者等が個人破産をする場合の弁護士費用は、1人33万円(税込)です。
これらの費用は、会社に残された資産(預金・売掛金等)や今後入金される予定の売掛金等から捻出することが可能です。
税務署等に売掛金を差し押さえられてしまうと、弁護士費用に利用することができなくなってしまうため、そうなる前にご相談ください。
費用についての詳細は「安心の弁護士費用」をご覧ください。
(2)分割払いもご相談可能です
弁護士費用は、ご相談者様の経済的状況に応じて分割払いも可能です。ただし、実際に裁判所に対し破産申立を行うのは、弁護士費用の積立が完了した後になります。その場合でも、受任通知は委任契約後速やかに債権者に送付いたします。債権者からの支払督促は止まりますので、ご安心ください。
会社破産の手続の流れについて
弁護士(当事務所)に依頼する場合の会社破産の手続の流れは以下の通りです。
より詳しくお知りになりたい方は「会社破産の手続・スケジュール①・②・③」をご覧ください。
1. 法律相談から委任契約まで
① 法律相談の予約・相談日の調整
まずはお電話又は問い合わせフォームから法律相談の予約をしてください。
お電話又はメールで法律相談の日時を調整し確定いたします。
当事務所の初回相談は無料です。オンライン相談も実施しています。
詳細は「無料オンライン相談 無料法律相談」をご覧ください。
② 法律相談
ご調整した日時に、法律相談を行います。法律相談は、必ず当事務所所属の弁護士が対応します。
法律相談では
- 今後の見通し
- ご相談者がとるべき対応
- 弁護士費用
などについてご説明します。
ご相談の際には、債権者一覧表や会社の概要をまとめたメモ等をご用意頂けると、弁護士がスムーズに事案を把握し適切なアドバイスが可能ですので、できるかぎりご用意ください。
法律相談のみで解決した場合はこれで終了となります。
③ 委任契約の締結
弁護士が説明した解決策や弁護士費用についてお客様がご納得され、当事務所に依頼を希望される場合、後日、当事務所との間で委任契約を締結します。
一度相談したら依頼しなければいけないということはありません。相談終了後、ゆっくり検討して頂くことも可能です。
2. 委任契約から破産申立まで
① 受任通知の発送
委任契約後、お客様と協議し、当事務所から債権者(金融機関や取引先など)に受任通知を発送いたします。
受任通知が債権者に届いた時点で、債権者からの取立行為は止まり、債権者からの連絡は当事務所所属の弁護士が対応します。
② 弁護士費用等の準備
債権者からの取立が止まっている間に、弁護士費用・裁判所費用の準備をして頂きます。裁判所への破産申立ては、費用の準備が完了してからになります。
会社に残存している資産(預貯金・今後入金予定の売掛金など)から費用を準備して頂くことが可能です。
会社に資産が一切残っておらず、分割を希望される方は、数か月かかる場合があります。
③ 必要書類の準備
弁護士費用の準備ができましたら、破産申立に必要な書類の準備に入ります。
申立書式をお渡ししますので、まずはそれにお客様の方で記入して頂き、弁護士と協力して準備することになります。
また、必要資料として
- 会社の登記簿謄本
- 決算報告書
- 預金通帳のコピー
なども必要となります。
これらの必要資料は、会社によって異なりますので、弁護士から丁寧にご説明いたします。
3. 破産申立から終了まで
① 破産申立・破産手続開始決定
申立書類・必要資料の準備が整いましたら、当事務所で裁判所に破産申立てを行います。
破産申立てから数日後、裁判所が破産手続開始決定を行い、破産管財人が選任されます(会社破産の場合には必ず選任されます)。
破産管財人は、
- 破産会社の財産管理
- 財産調査
- 換価処分
- 債権者への配当
② 管財人面接
破産申立から1~2週間後、お客様と破産管財人との間で打合せを行います(管財人面接)。
管財人面接には、破産管財人の意向によってお客様と1人で行う場合もあれば、当事務所の弁護士が同席することもあります。
管財人面接では、申立書の内容確認や、追加資料の提出を求められることがあります。
会社の代表者には破産管財人に対する説明義務があるので(破産法第40条)、虚偽の説明などをしてはいけません。
③ 債権者集会
管財人面接から約2~3か月後に、裁判所で債権者集会が行われます。
債権者集会は、破産管財人が行った業務内容について、裁判所と債権者に報告を行う集会のことをいいます。
債権者集会には、当事務所の弁護士がお客様と一緒に出頭します。
債権者集会までに管財人の業務が終了していれば、破産事件は終了します。
終了していなければ、約3か月の間隔でその都度債権者集会が行われます。
1回で終了することもあれば、不動産の売却や売掛金の回収などの業務がある場合には複数回かかる場合があります。
④ 配当手続
会社に一定の財産が残った場合、債権者への配当手続が行われます。
破産管財人が全て対応し、お客様がなにか対応することはありません。
会社に配当できる財産がない場合には、配当手続は行われずに破産手続は終了します(破産手続廃止決定)。
⑤ 破産手続終結決定
配当手続が完了すると破産管財人が行う業務はすべて終了となり、破産手続は終了します(破産手続終結決定)。
なお、個人破産と異なり、会社破産の場合には免責手続はありません。なぜなら、会社は破産手続の終了によって法人格が消滅するので、免責手続がそもそも必要ではないからです。免責手続がなくても、会社の負債は全て支払わなくてよいことになりますので、ご安心ください。